がらんどう



私の名前はがらんどう

ホットケーキの空の上 浮遊のバターが溶けた午後

べとつく螺旋の風たちが

刻んだ青の隙間から

施錠のかかった明日の窓辺に

落ちてきたのは 君の音



私の名前はがらんどう

囀る唄を忘れた鳥は モノクロ静止の無声フィルム

鼓動の数だけ滴り落ちる

君の涙が震えていたから

私は気付くことができた



君の上には晴天の 希望溢れる優しい海

私の知らない晴天の 君の上には優しい海



静かに君の静脈管へ 静かに注ぎ込まれてゆく



私の名前はがらんどう

夕立の後の演奏会 五色の陽光バタフライ

色づく気配をみせない世界で

それでもそこに立っていたら

落ちてきたのは 君の音



静かに私の静脈管へ 静かに注ぎ込まれてゆく

君が私の静脈管へ 静かに優しく溢れてゆく





(註)
・囀る さえずる





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